ブラック企業は「見做し労働」でトコトン搾り取る
社会という荒野を生きる①
■組合があってもブラック企業はなくならない?
この場合、協定が会社の言いなりである可能性や、協定を会社が守らない可能性があるので、労使の交渉力のバランスが重要になります。その意味で、労働組合がある会社の労働者と、そうでない労働者との間では、交渉力の差による大きな利害の違いが生まれるのです。
日本の労働者は労働組合法で労働組合を作ることが認められています。詳しくは労働三権と言って、労働組合を作る団結権に併せ、それをベースにして団体交渉する権利と、その結果次第でストライキという団体行動をする権利が、認められている訳です。
団結権・団体交渉権・団体行動権の三権は重要で、労組を作るのを妨害したり、労組からの交渉申し入れを拒絶したりすると、最悪、経営陣は罰金刑を超えて懲役刑を喰らいます。逆に、労組を作らないでストをすると、営業妨害で巨額の損害賠償を請求されかねません。
その意味で、小さな企業、新しい企業であっても、正規雇用の人たちはちゃんとした有効な労働組合を作って、労働三権をちゃんとした形で利用できるようにしておかなければなりません。さもないと長時間労働を規定したサブロク協定が有名無実になります。
ちなみに、正規労働者には労組があるから大丈夫だとも言い切れません。かなり大きな会社でも、ちゃんとした組合じゃなく、何もしてくれない「御用組合」が多いからです。労使協定も不利だし、協定が破られても文句を言わない。そんなダメな労働組合のことです。
ちゃんと有効に機能する組合に加入し、組合として会社ときちんと交渉することができないと、労使協定を自分たちにとって不利なものにならないようにすることができないということです。組合があるのにブラック企業がなくならない一つの理由がこれです。